This content has been archived. It may no longer be relevant

レッスン2:正しい単語の覚え方ー状況と共にー

前回は、「間も無く京都です」と”We will soon arrive at Kyoto.” の違いに注目し、英語の「主語と動詞を対で考える」大切さについて話しましたが、今回は英語と日本語の単語についてアドバイスをします。

「間も無く京都です。」

”We will soon arrive at Kyoto.”

この二つの文から「間も無く」は、”soon”だと普通の人ならわかるだろうと思いますが、常に
「間も無く」=”soon”
だと考えてしまうのは間違いです。このような単語の一元的なとらえ方は、英語をマスターする時に大きな障害になります。どう言うことかと言いますと、”soon”は、「間も無く」だけでなく、「もうすぐ」だとか「すぐ」にも使えます。「もうすぐ」、「すぐ」、「間も無く」の違いは何かと言うと、そう簡単には答えられません。ただ、「間も無く」=soon でないことだけは確かです。つまり、日本語の語彙と英語の語彙が必ず一致することは、ほとんどありません。ですから、逆の日本語を学習している学生にも、”soon” =「間も無く」とは教えません。
電車やバス、あるいはテレビなどの放送の際に、「間も無く京都です」「間も無く正午です」という言い方をよく使い、普通の会話では「もうすぐ」とか「すぐ」の意味の方が”soon”には適していますよ、という程度で教えます。

すなわち、単語の意味とは、すべてその単語が使われている状況で決まります。これを言語学ではcontextコンテキストと呼んでいますが、一つの文章は、
●文法
●単語の意味
●コンテキスト
という3つの要素があって、初めて意味をなします。
そのため、単語の意味は1対1のリストで学ぶのではなく、どのようなコンテキストで、どのような文法の中で使われているのかを考えながら学ぶことが、非常に大切になっていきます。

例えば、以下の英会話のように、”soon” は多彩な使われ方をします。

A “Hey, we are getting to Kyoto soon.” もうすぐ京都だよ。
B “Soon, how soon?” もうすぐっていつ?
A “ I think in a few minutes.” 2、3分で。
B “That soon?” ええ、そんなに早く
A “Yap, soon.” そう。
B “All right, I will get ready soon.” じゃ、すぐに用意する。

以上の会話の”soon” に「間も無く」という表現は一度も出てこないだけでなく、ほとんど毎回違った日本語で表現されるています。つまり、単語を覚えるということは、文法も含め、単語がどのように使われるのかを学ぶということなのです。

言語というのは、その言語の使われている文化に左右されると言われています。例えば、エスキモーの言葉には、雪という単語が20個ほどもあるのだそうです。日本語でも英語の“seaweed”に相応する単語が、のり、焼き海苔、昆布、ワカメ、海草、海藻、ひじき等色々あります。これは、日本の国が海に囲まれ、海の幸が大切な食文化の一つだからです。今や、ノリと昆布とワカメ等の違いを、言葉で説明するより、インターネットの写真を見るのが一番早い時代です。しかし、それ以上に効果的な覚え方は、海苔は白ご飯と一緒に、昆布はおでんやだし、ワカメはお味噌汁と一緒に経験し覚えることです。つまり、その用途やコンテキスト、ないし状況で考える癖をつけることが、とても大切です。ですから、スリーステップ法では、必ず、コンテキスト、状況と共に言語を学んでいきます(テキストの登場人物の名前”ジョー”と”キヨ”、”コニー”と”テキ”は、状況、コンテキストにかけた名前です。)

話すこと、聞くこと、読むこと、書くことの何を勉強するにも、必ず、このコンテキストを含んだ学び方をしないと、言語を効率的に学ぶことは難しくなります。スリーステップ法では、あるコンテキストの中の文章をチャンクと呼ばれるグループの文章として少しずつ習得していきます。小さなコンテキストを何度も繰り返し螺旋状に積み上げていくことで、スパイラルのような複雑な構造を持つ文章が自然な形で生み出されます。例えば、小さなコンテキストの中で、ネイティブが自然に使う文法と単語を覚えます。それを少しずつ繰り返し、ネイティブに違和感を感じさせないように、真似をし、身につけることで、自分でも同じようなセンテンスが作れるようになります。その結果、文法や単語の使い方がどんどん身についてくるのがスリーステップ法のやり方です。ただし、身につけるためは、脳の海馬というところから大脳皮質という脳の外側に、記憶を移行させなくてはいけません。何度も何度も繰り返す必要があります。必ず、チャンク(文章のグループ)として身につけていってください。ピアノを弾くときに、音符を一つ一つ暗記するのではなく、一節、一節ずつ身につけていくのと同じプロセスです。

今後このコラムで、英語を学習する皆さんにとって大切なことをお伝えする責任をいただきましたが、多分一番いい方法は、皆さんの質問に答えていくことだと思います。個人的な質問、というかあまり一般性に欠けている質問の場合は、一人ひとりにお応えし、複数の方のためになるような質問にはこのコラムを利用させていただきます。英語に関して、ご質問や悩み、成功談などがありましたら、遠慮なくお問い合わせください。

Masakazu_watabe@byu.edu